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自己資金(貯金)の目標額

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歯科医院を開業するにあたって避けられない問題、それはお金です。銀行から融資を受けて建物を確保し設備を入れることにはなりますが、自己資金も必要となります。

自己資金の目標額は1000万円

歯科医院を開業する予定の人は、自己資金の目標額を1000万円としていることが多いようです。500万円でも開業することはできますが、一般には、1000万円が目標額です。

自己資金1000万円とは大きな額のようですが、歯科医の収入からいえば、現実的に考えられる額ではないでしょうか。仮に25、6歳で勤務医となると、平均年収が450万円~。100万円ずつ貯金するとして、10年後、ちょうど歯科医としての経験も十分に積んだ年齢で自己資金1000万円が貯まります。

ただし、これはあくまで理想的な考え方です。現実には結婚や子の誕生などもあり、開業のための自己資金を計画通りに貯めるのは簡単ではありません。では、どうするか。やはり親族からの借りるのが、もっとも現実的で気楽な手立てではないでしょうか。

なぜ自己資金は1000万円必要といわれるのか

さて、歯科医院の開業に自己資金1000万円。そのお金の根拠は何なのでしょうか?

もちろんご想像のように1000万円という額で診療のための機器を揃えることはできません。歯科医院を開業するには、建物や設備などの費用を含めて、合計5000万円~1億円くらいのお金が必要です。そのすべてを自己資金で賄うことはほぼ不可能ですが、1000万円の手持ちのお金があれば、銀行から十分な融資を受けることができます。

1000万円はあくまでひとつの基準です。たとえば、500万円の自己資金でも、5000万円規模の歯科医院を開業することは可能です。どれだけの融資を受け、どれだけの設備を導入し、どれくらいの規模の歯科医院をやるかは、すべて自由です。

とはいえ、自己資金の額は、金融機関から借り入れようとする額の10~30%くらいとして貯めるのが、過去の多くの開業医たちの例。ご自身がイメージする規模の歯科医院にはどれくらいのお金がかかるか、そこから逆算して自己資金の目標額を決めても良いでしょう。

自己資金は「運転資金」にまわる

開業した後にはあれこれとお金が出ていきます。それがちょっとした備品や消耗品なら何とでもなりそうですが、問題は人材費・家賃・光熱費などの運転資金です。さらにHPなどを作ることを考えると、その分の費用も用意しなければなりません。

事業を経営するための運転資金は、どれくらい必要か?

これがスタートアップ時で約500万円~1000万円といわれます。そして、この額に関しては融資に期待することができません。通常、融資とは不動産、または設備などの有形のもののためのもので、運転資金などの無形のものに関しては、銀行も貸し渋るのです。

そこで唯一頼りになるのが、自己資金というわけです。自分が持っているお金を、運転資金に回す。そのようにして何かとお金が入り用となるスタートアップ時の難所を乗り越えなければなりません。

もし運転資金がショートしたら?

歯科医院は周到に計画を立てて準備、開業、軌道に乗せれば、その市場自体は参入のハードルが高い(つまり歯科医師資格を持たない人が参入できない)、そして歯科医療という半永久的になくならない商材を扱っている、また売上の7割(3割自己負担の場合)を国が持ってくれるという3つの点で、非常に強力なビジネスモデルといえます。

しかし、集患に成功し、経営を軌道に乗せるまでの間に、運転資金が足りなくなるケースも考えられます。「もう少し銀行に借りることができたら」と思うのが人情でしょうが、そういった、いわば開業後すぐ危機に瀕するような歯科医院にお金を貸すのはリスクが高すぎるとして、銀行も追加で融資してくれることはほとんどありません。

駆け出しの開業医の中には、自院の運転資金を稼ぐために、夜間歯科で勤務医と並行して生活する人もいるようです。それでもギリギリ…となる前に、知っておきたいことがあります。

■助成金・補助金の制度を利用しよう

運転資金で何の割合が大きいかといえば、雇用に関するお金です。この点に関しては、助成金の制度があり、また、設備に関わる面では補助金があります。これらは返さなくてもいいお金(制度の対象外となる場合や、例外あり)。助成金・補助金を受給すれば、出ていく運転資金を小さくとどめることが可能です。

■開業後2ヶ月は勝負の期間

保険診療、3割負担の場合、7割のお金は国から入ってくることになります。この額がなんといっても大きいのですが、この7割部分が入ってくるのは、診療月の約2ヶ月後です。

よって開業後2ヶ月間は、この額に期待してはなりません。またその2ヶ月間の間にも家賃や人件費はかかり続けるので、運転資金はやはり潤沢にあることが望ましいでしょう。

自己資金は運転資金に 資金繰りの工夫も

500万円、1000万円という額の自己資金は、銀行の心証を良くし、いい条件で融資を受けるためのお金であり、また開業後の運転資金でもあります。事前の告知やHPの公開による触れ込みにより開業後すぐに集患に成功できても、保険診療の国の負担額である7割(または9割、全額など)のお金が入ってくるのは2ヶ月先のこと。もちろん何もかもが計画通りには進まないことも考えて、自己資金は十分に用意しておきたいところ。

自己資金は歯科医として働き始めてから、計画的な貯金で準備していくのが基本です。

最後に、付け加えていえば、うまくお金の増減を管理して一定以上の額を常に手元に確保するために、資金繰りの工夫も忘れてはなりません。資金繰りの原則は、どんな商売でも「回収は早く、支払いは遅く」。売上の回収はなるべく現金で早く、支払いはクレジットなどを用いて遅らせることで、手元にあるお金をとりあえず大きくして、運転資金を賄えます。

歯科開業の教科書
編集部

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歯科開業の教科書 運営事務局

歯科医院の開業と運営に携わる現場コンサルタントが歯科開業に関する「旬」な情報を現場目線でお届けします。

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