資金調達 ~③資金調達の方法~
2021.06.30

歯科医院の開業には5000万円~1億円というお金が必要です。そのようなお金を手元に持っている人は少ないので、1000万円程度を自己資金に、あとは銀行から融資を受けて準備することになります。
開業時には一気にお金が出て行く
設備資金や運転資金に関しては別のページに詳述しますが、開業時にはそれらのお金も含めて一気にお金が出ていきます。ちょっと気が遠くなるような勢いに思われるかもしれませんが、ざっと並べただけでも、次の通りです。
まず戸建て開業の場合は土地・建物。賃貸の場合ならば家賃、そして最初に払う保証金・敷金・礼金などがセットになっていくらという額。また歯科医師会の入会金も都道府県によって異なりますが多少はかかります。現在はHPの作成にも最大200万円程度は必要で、その額も軽視できません。
開業時の内覧会、この費用も100万円~300万円程度と安くありませんが、集患につなげるためにぜひ実施したいものです。
このように開業時にはいくらでもお金が出て行くので、資金は潤沢にあるに越したことはありません。しかし、だからといって融資だけを頼りに大金を借りるのは考えものです。
では、5000万円~1億円のお金を、一体どのように手元に揃えればいいのでしょうか。
調達すべき額は自己資金と親族からの借り入れで賄いたい
理想的なのは、もちろん自己資金で大半を賄うことです。しかし、多くの歯科医が開業を考えるタイミングでいうと、経験10年程度。この間しっかりと貯金をしていても、1000万円くらいでしょう。これくらいのお金があれば銀行の心証はよく、事業計画書の内容次第では借りたいだけ借りられますが、もちろん元金と利息がつくことを忘れてはいけません。あまり設備投資などに力を入れて、それを活用しきれない場合は苦しいことになります。
そこでお金の調達方法として主候補になるのが、親族からの借り入れです。開業にあたり資金面で応援してくれる親族がいるなら、これほど心強いこともありません。ただしその際は必ず書類を作成しましょう。「金銭消費賃貸契約書」といって、これを書かなければお金の授受が法的に「贈与」にあたり、税金がかかってしまうのです。
また資金を援助してくれる親族に「金銭消費賃貸契約書」を作成する場合は、利子もつけなければなりません。利子は歯科医院の経費として計上できますが、親族側では所得となり申告の必要があるので、このあたりもクリーンに。
親族から開業資金を借りるメリットとして大きいものに、元金の「据え置き」をしてもらえるという点があります。開業後すぐは運転資金で手元のお金が目減りしていきますが、この間、親族ならば「借りたお金の利息だけ返してくれたらいい」と、元金の据え置きをしてくれるケースが多いようです。
適切な額の融資を受ける
事業計画書を提出する際に銀行からもチェックされる点ですが、あまり現実的でない規模の計画を打ち上げて、そのために必要な設備を取り入れ、利用することもなくペイできないと、その分はそのままあまり意味もなく借金して買ったものとなってしまい、非合理です。
歯科医院としてどうしても必要な設備を揃え、さらに自院ならではの「色」をつけるために充実させたい気持ちはあるでしょうが、開業医規模の歯科医院では、当然のことながら大学付属病院などの設備にはかないません。自己資金、可能であれば親族の借り入れを受け、それで足りない分を金融機関に借りる、というイメージで、融資を受けることに関してはなるべく慎重な姿勢であった方がいいでしょう。
とはいえ、もちろん金融機関を利用しなければならない場面も出てきます。親族からの借り入れに期待できない場合は、銀行との融資交渉です。融資交渉で何を見られるか、これは自己資金の額が大きいといわれます。銀行としてはお金にだらしない人にお金を貸すことはできないので、開業を見据えて計画的にお金を貯める「お金の管理能力」を問うのです。
大銀行ほど小規模事業者には貸し渋ると言われます。歯科医院もそのひとつで、銀行からの融資を受けたいならば、あらかじめ利率なども頭に入れた上で、地方銀行や信用金庫にお金を貯めておくことで、融資の際の心証がよくなり、理想の額が借りやすくなります。
設備は後からの買い足し リースも活用
開業に関してこれだけは絶対に必要であるという設備は、きちんとお金を揃えて導入する必要があります。しかし、後々、集患に成功後の雰囲気を見て、新しい設備を入れるのも手です。開業にあたってはその歯科医院ならではのコンセプトを打ち出す必要がありますが、機材面でそこをある程度のレベルでクリアできれば、追加導入は後の流れから考えればよいのです。
リースを活用するのもひとつの手です。リースとは簡単にいえば長期間にわたる賃貸のこと。ただしリースはまさしく賃貸で、どれだけお金を払っても自分のものにならないので(定期的なサービスなどを受けることはできますが)、歯科医院の設備には向かないものもあります。しかし、一時代前と比べると格段に性能が上がっているレセコンや電子カルテなどはリースする開業医も多いようです。こういったIT関連の機器の技術は日進月歩。賃貸で常に最新のものを活用した方がよいかもしれません。
また設備面でどうしても患者を治療しきることができない場合は、特別な機器なども含め何もかもが一式揃った大学病院を紹介することも、ひとつの方法であり、歯科医の良心でしょう。
できるだけ多額の資金を無理にでも借りてふんだんに設備を取り入れ、開業しよう、というのはあくまで理想です。歯科医院は成功率の高いビジネスモデルだとは言われますが、現実には「未来の自分に投資して借りられるときに借りておけ」とは言えない面もあります。
歯科開業の教科書
編集部
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