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開業で気をつけたい、歯科医院の看板設置
2021.11.11
看板は医院の顔です。
開業に合わせた看板準備が欠かせません。まだ来院したことのない方にとっては、看板から得る印象が医院の印象になります。清潔感がある、信頼できそう、長く通えそうといった印象を与えるためにも、看板の扱いには相応の注力が必要です。
看板の種類
看板にも色々な種類があります。できるだけたくさん看板を設置すればよい、ということではありませんが、医院の立地や看板の役割に合わせて使用すれば、新規患者への効果的なアピールになります。
医院に設置する看板
ファサード看板(欄間看板):医院正面上部に設置する、医院名を掲げた看板。
開業時に必ず必要な看板です。1階に医院をかまえる場合、これだけで集患効果を発揮することもあります。中には建物のデザイン性を重視するあまり、アルファベット表記の医院名や、かなり小さめな看板を掲げる医院もあります。しかし一番大事なのは、一目で歯科医院だと分かることです。建物を活かした大きな看板は、分かりやすさからくる安心感、広さがある分内容も充実していそうという期待感を持たせることができます。
壁面看板(壁面サイン):医院壁面に設置する、医院情報を掲載する看板。
ファサード看板と同じく、開業時に設置されます。診療時間や診療科目、電話番号などの情報を掲載します。合板の他、ガラス面に貼れるシールタイプなど、建物に合わせた素材で作成できます。
屋上看板(塔屋看板):医院の屋上部分に設置する大型の看板。
遠方へ医院の存在をアピールできる看板です。一般的には建物を建てる段階で設置されますが、建物によっては後からの工事も可能です。看板の内外に照明を設置することで、夜間でも存在感を失いません。
袖看板(突出し看板):壁面から路面に向かって垂直に設置する看板。
裏表に医院名などを掲載できる、通行人から見つけやすい看板です。間口が狭くファサード看板を活かしきれない場所でも、医院の位置を知らせることができます。照明を内蔵したタイプなら、夜間の視認性も確保できます。
医院から離れた場所に設置する看板
駅広告:駅構内に設置される看板広告。
看板やポスターの他、柱巻広告、液晶ディスプレイなど様々な方法があります。駅ごとに掲載期間・料金設定が異なりますので、該当駅へお問い合わせください。駅前・駅近の医院にとって、認知度を上げるのに有効な手段です。通行人に訴える、高いデザイン性が求められます。
野立て広告(ロードサイン):交差点や道路沿いに設置する野外看板。
医院へ誘導するために、長期間設置する大型の看板です。生活動線から離れた医院に向いた宣伝方法です。なお、初期設置費用、月額の使用料が発生します。
看板の広告規制
医療機関の広告は、医療法による規制を受けます。
広告というと、チラシやWEBサイトなどを連想されるかもしれませんが、看板もこれに含まれます。厚生労働省では、広告の定義を以下のように定めています。 (参照:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 医療広告ガイドライン)
① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
つまり、「医院が集患を見込んで掲示する」「医院名が掲載されている」の2点を満たす看板は、れっきとした広告物にあたるのです。
看板に掲載できない事項
医療の分野において、間違った広告情報から受ける被害は、他の分野と比べても深刻なものです。患者様が安心して医療を受けることができるよう、公正で偽りのない広告でなくてはなりません。以下の内容は、厚生労働省が指定する広告の禁止事項です。
- 他の医院より優れている印象を与える表現(例:最高、最新)
- 嘘の情報(例:加工した治療写真)
- 功績や、効果を誇張した表現(例:有名人御用達、絶対に治る)
- 公的にふさわしくない、わいせつや残虐性のある表現
- 医療行為に対する、患者本人や家族などの体験談や感想
- 治療に関する手順やリスクなどの情報を提示しないで掲載する、治療前後の写真
- 品位にかける表現(例:今なら〇%割引)
これらの禁止事項は、例え国の規制がなくとも用いるべき要項ではありません。患者様からの信頼は、正しく誠実な情報を載せることで得られるのです。
看板に掲載できる事項
厚生労働省が定める広告可能な事項は、「患者の治療選択等に資する情報であることを前提とし、医療の内容等については、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限られる。」(法第6条の5第3項)とされています。
つまり、「患者様が求める医療サービスを探すのに役立つこと」「情報提供者の主観に頼らない、確立された情報であること」が条件です。 患者様が必要とする情報をスムーズに得ることができるよう、厚生労働省は以下のような情報の提供を認めています。
- 医院の名称
- 診療科目
- 電話、FAX番号(フリーダイヤル含む)
- 管理者(医院長)の氏名
- 診療日、診療時間
- 予約に関する案内(予約に関する電話番号、アドレスも記載可能。)
- 住所、地図、最寄り駅などの所在地を表すもの
- 院内の設備や人員に関する記載
- 診療に関わる医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴、認定資格
上記以外にも、医院の取り組みや詳細事項などを許可しています。
どんな情報であっても、それが医療に関するものである限り、患者様への責任がついて回ります。開業時の看板設置は、国の医療広告ガイドラインを確認しながら進めなければなりません。
患者様が安心安全な治療を受けることができるよう、国は厳密なガイドラインを設けると同時に、医院・診療に関する多くの情報の掲載を許可しています。WEBサイトやチラシであれば、豊富な医院情報も患者様へのアピールになります。しかし看板は、簡潔明快であってこそ効果を発揮します。掲示場所や設置理由に合わせた、取捨選択が望ましいでしょう。
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編集部
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