歯科開業のための設備・機材(価格交渉)
2021.08.17

新規開業のための機器・設備の価格交渉は、結論からいえば「ある程度まで」と思っておいた方がいいでしょう。歯科医院そのものが特殊な業界であり、専門性が高い機材で、たとえばユニットなどは少なくとも国産製では競争があまりありません。同等品を競わせてどんどん値下げさせる、という通常のやり方が通用しないことが多いようです。
大型医療機器の価格交渉について
歯科医院開業において、たいへん重要なプロセスといえる大型医療機器の導入。何しろ設備そのものの基本価格が高額なので、その中でなるべく安く、というのが心情です。
ではどのように安くするか。これは価格交渉というよりも、買い方です。一部、直販を行うメーカーもありますが、多くはディーラーを通じて買うことになります。そのディーラーとの付き合い方が、価格を左右します。簡単にいうと、特定のディーラーから諸々買えば、大型医療機器も安くなりやすい。そういうことです。
しかし信頼できるディーラーを優先するか、機材のメーカーを優先するか。大型医療機器の優先性をどちらにつけるかで、考え方が変わります。メーカーを先に決めるならば、そのメーカーを仕入れることのできるディーラーに話を持っていくことになります。製品に特約店制度があれば、大きな値引きには期待できません。
このディーラーを通じてあの製品を買う、という態度の方が価格は安くなりやすいでしょう。ディーラーによっては、歯科医師がメーカーと交渉する場に同行してくれることもあります。値引きの頼もしいパートナーといえます。
大幅な値引き、価格交渉の余地が期待できるのは、大型の医療機器を特定のメーカー、そして決めたディーラー1社から購入することです。たとえばユニットとX線撮影装置を一緒に買えば、最大数十万円という値引きもありえるでしょう。
小型医療機器、ソフトウェアなど
ユニットやX線撮影装置が、初期コストの大半を占めることになります。この部分が値引き交渉のキモではあるのですが、コスト総量の残部分は、小型医療機器・ソフトウェアが大きな部分です。価格にして150万円~300万円程度でしょうか。
小型医療機器、とりわけタービンなどは勤務医時代に手馴れたものを選びたいという気持ちを優先させ、どちらかといえば値段よりも経験重視で購入するケースが多いようです。そして、小型医療機器は最新のものでない限り国産、海外産で多少の値段幅があるだけで、そこまで大きく変わらないため、価格交渉の余地もまた大きくありません。
これはソフトウェアについても同様です。レセコン、カルテコンなどは、値段を見て決めるというよりは、使いやすさに投資した方がいいでしょう。最新のシステムではたとえばラインと連携して診察日時を通知したりするものや、サブスクリプションで月に数万円の定額を支払ってクラウド方式で利用できるものなどがあります。長期的に見て採算が取れるのであれば、惜しむべきところではないかもしれませんが、開業時にそこまで踏み切られるかは歯科医師の心の持ち方次第です。
その他の部分で節約はできる
値引きというよりは生活感覚に沿った「節約」という言葉が適切でしょうが、その他の細々とした備品関連で初期コストを、あるいは50万円ほど節約できるかもしれません。消耗品やオフィス家具類は、安いものを購入できます。とはいえ、待合室周りの印象は現今の新しい歯科医院の場合かなり重要なので、あまりお金をかけていないイメージになるとよくありません。ウォーターサーバー、雑誌類、加湿器、空気洗浄機などは「お店」の雰囲気・安心感を出すために必要です。
しかし家電類は安く購入できます。それはネットと実店舗を見比べるだけでも一目瞭然でしょう。大事なポイントは押さえながら、切り詰める部分は取って、30万円程度抑えられたら良くしたところです。
値引きしすぎないことも大切
よりも、大型医療機器を購入するディーラーから諸々買ってしまうことが、トータルで見ても一番のコスト削減術となるでしょう。見積もりが出てきたら、他社や、先輩の開業医に相談して、一度はサスペンド。値引きできる部分がないかは、担当者の顔を見ながら、ある程度の押し引きは必要です。
しかしながら、「一円でも安く」という値切り根性は、良いものではありません。特に開業時に諸々仕入れたディーラーとは、その後も中長期的なパートナー関係を結んでやっていくことになります。逆の立場になって考えてみると「一円でも安く」という歯科医師とは付き合いにくいでしょう。
現にメーカーやディーラーからも、「あまり長期間にわたり価格交渉をされると、市場で噂が広がることが考えられ、かえって良い価格が出しにくくなり、契約できるか・できないかにも影響する」と、リアルな気持ちが聞かれます。そのため、数回のやり取りを通じて適正価格というところまで落とせたら、「もっと安くできるはず」というやましさは捨てて、後々の付き合いのことも考え、品位あるやりとりでコンセンサスを取るべきでしょう。
歯科開業の教科書
編集部
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