歯科の開業は住み慣れた場所か?地元か?
2021.04.16

歯科医院の開業にあたっては、開業する土地の選定が非常に重要です。どのような条件の場所で開業するか、この「目利き」が集患に直結するといってもいいでしょう。多くの方が考えるのは土地勘があり顔が利く地元での開業ですが、選び方はそれだけではありません。
地元での開業は失敗しにくいモデル
場所の雰囲気に熟知している地元での開業は、ひとまず失敗しにくいモデルとは言えるでしょう。地元での開業には「リサーチしなくても住んでいる人の年齢層や経済環境、開業予定所付近の人通りなどがよくわかる」という、たいへん大きなメリットがあります。
地元で開業すると、自然に知人や親族が応援してくれるのも魅力のひとつでしょう。こちらでプロモーションをかけなくても、良い口コミが伝わりやすいのです。たとえば、小学校時代の友人が結婚して地元に残っている場合、そのファミリーは一家で旧知の友人が新しく開業した歯科医院に通ってくれるでしょう。そして噂は主婦間のネットワークを伝わって――という展開が期待できます。
進学のために都心部に行って、経験を積んでから戻ってきて開業する、いわゆる「Uターン開業」は成功率の高い開業モデルです。反対のようですが、ほとんど同様に、もとは都心部に住んでいた人が進学で地方へ行き、歯科医学を修めると共にその場の雰囲気に慣れ親しみ、そこで開業する「Iターン開業」もあります。このケースでもそこにある程度の土地勘があり、「ここなら人通りも多そうで集患に期待できそうだ」などの開業イメージが湧きやすく、失敗しにくいモデルといえるでしょう。
その他、Uターン開業・Iターン開業のメリットを上げると、都市部以外の地元へ戻って開業する場合に関しては、一般に付近に競合の歯科医院の数が少ない、また地方ならば土地・家賃が安い、生活費も抑えられる、と良いこと尽くしのように思われます。
しかしデメリットもないではありません。セミナーなどは都市部で開催されることが多いので、新しい情報を随時取り入れることが困難となります。また口コミが広がりやすいということは、悪い噂も同様であるともいえ、出回る話に注意が必要です。
とはいえ、迷ったら地元で開業。あるいは学生時代などに住み慣れていて、場所の雰囲気がわかる場所で開業。自分がよく知る場所ならば、やはり失敗しにくいといえるでしょう。
コンセプトから場所を選ぶ
開業する場所は、成否のカギを握る非常に大きな要素です。大体のエリアが決まっても、そこからさらに絞り込みをかけ、理想の場をピンポイントで見つけたいところです。では、どのように絞り込むか、それは、自らが経営しようとする歯科医院のコンセプトでしょう。
「人々に親しまれる昔ながらの町の歯医者さんを地元で」というならば、やはり街中で、ちょっとした商業施設などが近くにあると、自然と通行人の目を引いて、「今度何かあったらあそこに」と思われるようになります。
「地方にもインプラントや審美歯科などにも積極的に取り組む新進の歯科医院を」というコンセプトならば、そういったものにペイしてくれそうな人たちのいる、その街の中の繁華地帯や高級住宅街の、なるべくアクセスの良いところで、という目当てがつきます。
その他、開業地の条件は、あくまでコンセプトと患者の目線を掛け合わせて、すなわちターゲットをよく考慮に入れた上で選定しなければなりません。戸建てか、テナントか。駅から何分か。駐車場はあるか、ないか。オフィス街か住宅地か。テナントの場合は何階か(エレベーターはついているか)・・・・・・などなど。
■ライフスタイル重視の開業は危険
歯科医院を開業するのならば、そこができれば自分のライフスタイルにも適したような場所であってほしい。たとえば都会派の人は都会で開業したい、そう考えるのが自然ではあるでしょう。しかし、ご自身のライフスタイル重視の開業は、特にこれからやろうとする歯科医院のコンセプトと一致しない場合には、やはり控えるべきです。
ライフスタイル重視の開業では、同一の診療圏で他院にかなわない可能性があります。ためしにライフスタイル重視で開業しようと思っている予定地から、500m~2000mという範囲の歯科医院を確認してみてください。コンセプトを同一にする院や、すでに定評を築き地域の人が集まって予約も取れない状態の人気の院がないでしょうか。自分に都合の良い場所での開業は、なかなかうまくいきません。
エリアマーケティングに力を入れよう
開業を予定しようとする土地で何が求められているのか。そもそも、既存の歯医者だけで事足りているのではないか、そういうこともありえます。ならば、別の切り口で、とあえて狭い範囲で競合しようとするよりも、たとえば当初予定した場所よりも多少離れたところでも、新興住宅街の中になるべく早く歯科医院を開いてしまった方がいいかもしれません。
間違ったエリアマーケティングでの失敗例は多数あります。よくいわれるのが地域調査、競合医院調査、来院患者分析、これが主な三つの見るべき要素ではありますが、肝心の土地の将来性などは、その場に足を運んでじっくりと見たり人に話を聞いたりしないとわからない部分があります。一世代育ってしまえば、あるいは、ぱったりと人がいなくなって未来がない場合も。慎重派は、開業予定地に春夏秋冬通って、行きつけの美容院などからも情報を仕入れるといいます。頭の中の算段だけでなく、肌で感じるマーケティングも必要です。
歯科開業の教科書
編集部
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歯科開業の教科書 運営事務局
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