事業計画:融資に耐えうる事業計画とは
2021.06.30

自己資金を「信用」として見せ、銀行から融資を受ける際には、事業計画書を作成する必要があります。銀行としてはそのお金が確実に戻ってくる見込みがなければお金を貸すことができません。歯科医師自らが経営のイメージを持つためにも、事業計画書はプロの助けを借りながら、自らも目で見て定め、より具体的にお金のことを考えなければなりません。
「損益計算書」を作成する
勤務医は仮にその病院が赤字であっても給与が支払われます。しかし自ら開業するとなると、そうはいきません。毎月銀行に返すお金、従業員に払うお金、などなど引かれてはじめて、自分の手元に残るお金が決まり、それが給与になります。仮に残るお金がない場合は給与なし。それもまったくありえないことではありません。
保険診療という大きな強みに守られているのは歯科医師ならではですが、7割(自己負担3割の場合)の診療報酬が入ってくるのは約2ヵ月後と、そのようにスタート時には少し自己資金面がもたつきます。そして歯科医院を開業したら払わなければならないお金はとにかく多項目にわたるので、本当に迂闊なやり方をすると駆け出しで資金がショートします。
そこで「損益計算書」を作成します。これは一定期間内にいくら収入と支出があるか、まとめたものです。歯科医院の家計簿みたいなものですね。ただ一般の家計簿と異なるのは歯科医院は出ていくお金の項目が非常に多いこと。人を雇えば保険等の関連もあり、とても医師一人の手には負えません。このあたりはディーラーや税理士に任せることになります。
事業計画書は銀行の心証に大きく影響する
損益計算書、そして事業計画書は、銀行の心証に大きく影響する部分です。とりわけ事業計画書は、開業から3~5年という期間で、「毎月これくらいの業績があり、それがこのような計画に基づいて保証され、借りたお金をこれくらいのペースで返すことができます」という損益計算書を含めた根拠確かな内容なものでなければなりません。
計算書が粗いと、いくら自己資産が潤沢にあっても、銀行は貸し渋ります。よって、ここはディーラーや税理士といったお金のプロに作成を任せるべきでしょう。歯科医院の立ち上げと、お金、それぞれに経験の豊かな専門家の領分。歯科医師が専門業であるように、この手のことにも専門業者がいます。プロの助けを借りるのが確実でしょう。
とはいえ、この内容を丸投げしてしまうのはよくありません。
なんといっても自分の事業の計画であり、お金のことですから、現に動き出してどうなるかはわからない面はありますが、当初掲げている事業計画書は歯科医院の基本的な方針ともなるものです。ただ形式的に銀行に見せる書類ではありません。具体的にどれだけのお金が出ていくか、入ってくる見込みがあるか、そこは理解したいところです。そのためプロに作成させた事業計画書は歯科医師本人も必ず確認し、数字の意味するところを頭に置いておかなければなりません。
見るべきは「勘定科目」
損益計画書は横に前月繰越、当月借方、当月貸方、当月残高、対売上費の数字が並び、一番左の列に「勘定科目」というお金の項目が並ぶものです。何せ数字は羅列なので、それぞれの数を実感的に理解するのは無理がありますが、勘定項目に関しては熟語で書かれた、すなわち「お金の内容」であり目で見てわかります。
「保険窓口収入」「自由診療収入」「雑収入」など。お金の流れをイメージするために、数字全体よりは、この勘定項目の語と数字の対応だけ見ておきましょう。以下、注視すべき勘定項目です。すべて語と意味が対応するはずですので、ここでは羅列にとどめます。
・保険請求収
・保険窓口収入
・自由診療収入
・雑収入
・診療材料仕入れ高
・委託費
・法定福利費
・通信費
・減価償却費
・青色事業専従者給与
数字のことはプロに任せながら経営状態の理解を
歯科医院にかかわらず事業の経営は最終的には数字がすべてを決定するので、損益計算書は、見込みというレベルであれ簡単に考えられるものではありません。たとえば2ユニットの一般歯科で一日100万円という売上を計画し、そこから変動費(売上原価)を引いて利益いくら、という計画では、銀行の心証が悪くなります。
融資に耐えうる事業計画を作るには、ディーラーやお金関連では税理士への委託が不可欠となります。ある意味ではそのように信頼できるパートナーを作るところから開業は始まるのだともいえるでしょう。事業計画書の作成を委託する上で歯科医師の関わる部分は、開業しようとする歯科医院の規模、そしてどのようなコンセプトに基づいてどれだけの数の集患を見込んでいるか、といったイメージ図の提示です。それに伴い、打ち合わせを重ねながらディーラー等が導入すべき設備、そして売上として考えられる根拠のある数字、またその他の勘定項目を考え、返済計画も高く、銀行に心証良く融資を受けられる事業計画書を提出します。むろん、これは現実的に経営の目処を立てるという意味にも繋がってきます。
歯科開業の教科書
編集部
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